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パレスチナ・ファレスティーン

笑って泣いて食べて暮らしたパレスチナ。 時々の思いを綴ります。

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エルサレム賞2001

本棚の本は増え続けるのに、変わらない知識量と衰える思考力。
本が横になると怠け者の私も横になるだけで手にさえ取らなくなるので、2冊置き始めました。

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先日、リサイクルショップで見つけた「ブックエンド」と私が呼んでいるもの。
友人に、泥棒が入ったら後悔するか逃げ出すか、と言わせた本棚には、
パレスチナ、イスラエル、アラブ、テロ、原理主義、9.11、戦争などの題名がずらり。
私の本棚の本たちとのギャップがぴったりと、「ブックエンド」を買ってしまいました。

本が倒れないように、慎重に「ブックエンド」を設置していたら、
手前にしっくりきたのが、スーザン・ソンタグの作品群。
久しぶりに手にとって改めて読んだのが、
2001年にエルサレム賞を受賞したときのスピーチでした。
今年、村上春樹がエルサレム賞を受賞したときから、気になっていました。
エルサレム賞は「エルサレム文学賞」ではなく、
「社会における個人の自由のためのエルサレム賞」と呼ばれています。

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エルサレム賞受賞スピーチが収録されているのは、この本です。
私は、80年代後半に「隠喩としての病い」を通して、ソンタグの作品に触れました。
2001年当時、私はパレスチナにいましたが、
ユダヤ系アメリカ人の彼女の受賞はおろか、エルサレム賞さえ知りませんでした。

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初めて読んだとき、帯にもある、
「もし真実と正義のどちらかを選ぶとしたら
 ―もちろん、片方だけを選ぶのは本意ではないが―
 真実を選ぶ」
ということばが、胸に突き刺さりました。

授賞式は2001年5月。
2000 年9月に始まった第2次インティファーダが激化する一方の時期でした。
彼女は、イスラエルによる圧倒的な軍事力による攻撃、占領地への入植地政策を
真正面から批判しました。

「集団的懲罰の根拠としての集団責任という原則は、軍事的にも倫理的にも、けっして正当化しえない、と私は信じている。何を指しているかと言えば、一般市民への均衡を欠いた火力兵器攻撃、彼らの家の解体、彼らの果樹園や農地の破壊、彼らの生活手段と雇用、就学、医療、近隣市街・居住区との自由な往来の権利の剥奪である……。こうしたことが、敵対的な軍事攻撃に対する罰として行われている。なかには、敵対的軍事行動の現場とは隔たった地域の一般市民に対して、こうしたことが行われているケースもある。
私は以下のことも信じている。自治区でのイスラエル人の居住地区建設が停止され、次いで―なるべく早期に―すでに作られた居住区の撤去と、それらを防衛すべく集中配備されている軍隊の撤退が行われるまで、この地に平和は実現しない、と。」(p211-212)

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   東エルサレムの入植地(撮影:2008年5月エルサレムの日を前にして)

2001年当時のエルサレム市長は、オルメルト前イスラエル首相(2006-2009)。
東エルサレムの入植地拡大を推し進めた張本人でした。
彼を前にこのスピーチはなされたそうです。

そして、最後のスピーチの部分には、
「イスラエルとパレスチナで、個としての声と、複数の真実からなる文学を創造すべく格闘している、すべての作家と読者への敬意とともに、これを受ける。」(P216)
とも、述べていました。

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ソンタグは、2004年に、がんのため帰らぬ人となりました。
建設が続く分離壁、2005年のガザかのイスラエル軍と入植地の一方的撤退、
昨年末のガザ侵攻、現イスラエル政権による入植地政策等、
様々な現実に起きていることに対する彼女の批判を
聞きたかったのにと思っている人は、多いことと思います。

この本には、9.11直後、サラエヴォ空爆下からのメッセージ性の高いエッセイ、
大江健三郎と往復書簡、戦争と写真をめぐる考察、エルサレム賞のスピーチが
収録されています。
自分の見たものから語る彼女ののことばは、刺すような痛みを伴いながら訴えかけてきます。

前書きの最後は、
「真実はつねに複雑であり、矛盾に満ちている。」
と、しめられていました。
それでも信じるものは真実であり、大切なのはそれを真摯に探求し続けることなのでしょう。

本について
この時代に想うテロへの眼差し
スーザン・ソンタグ 
NTT出版 2002年

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コメント


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ウサギのブックエンドかわいいでし。
いいものを見つけましたね。

私も本は溜まってばかりいて、読むのが追い付きません・・・。

でも何年後かに、ああもっててよかった、今読みたかったってことがよくあるから整理できません。

ソンタグの本もきっとそうかも。内容も盛沢山のようですね。
でもメッセージもむなしく、入植地は広がるばかり。
イスラエル聞く耳もたぬ、ですね。

なおあん | URL | 2009-06-30(Tue)05:59 [編集]


本棚にあってよかったと思うことはよくありますよね。
ソンタグのエルサレム賞のスピーチもそうでした。
久しぶりに読んで少々驚きました。
まるで彼女が、今年のエルサレム賞で発したことばのようだったからです。
前半は昨年末からのガザ侵攻、
後半はまさにオバマ政権が(でさえ?)和平の最大の妨げと言った入植地問題。
根本的な問題を彼女が指摘し、
それが全く解決の方向に向かっていないからなのでしょう。
どちらも悪いというような「中立」など述べずに、彼女のそぎ落とされたメッセージのなかに入れ込んだのが、平和を阻害する真実として信じることとだったのでしょう。
ソンタグの1964年の作品「反解釈」の最後に(芸術について述べているのですが)
「批評の機能は、作品がいかにしてそのものであるかを、いや作品がまさにそのものであることを、明らかにすることであって、作品が何を意味しているかを示すことではない。」
とあります。
彼女が、真実を信じる、と語ったことが、改めて響きます。

ミシュミシュ | URL | 2009-07-02(Thu)01:56 [編集]


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